FLIER in Dark and Sensitive Room, Hours from Dawn to Dusk till Dawn

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blue sky


「空が青い事はもう知ってますから…」

と言ってしまうと、僕などよりはるかに空の青さに対して密接な人生を
送っておられて且つ饒舌な人もいるだろうから、僕がそう断言するのも僭越
な気がしますが…

でも僕は今、知ってると言いたいのです。



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明るい、暗い、鮮やかな、くすんだ、華やかな、可愛い
はっきりした、優しい、大人しい、落ち着いた、深い
渋い、重厚な、質素な、日本的な、悲壮な、寂しい
堅牢な、伝統的な、保守的な、儀礼的な、初々しい
柔和な、優雅な、女性的な、しなやかな、安らかな
素朴な、のどかな、洗練された、格調の高い、気品のある
貴重な、神秘的な、静かな、粋な、清楚な、淡い
異国風な、粗野な、愉快な、気楽な、健康的な、派手な
色っぽい、大胆な、若々しい、強烈な、風変わりな
衝撃的な、、etc

自然界の色、又は人為の色に対し人々が時にそれ固有の印象を受ける
事は珍しく無いと思います。
僕などの場合、上記のように簡単な形容詞を当てて満足する時と、
言葉で言い表せない時に分けられるかもしれない。

逆に言葉から辿って、色を使って有形無形のイメージを表現する
ようにして写真を撮るようなことも珍しくは無いでしょう。

でも仮に僕がダリアの花に対し、勝手にそれが置かれていた状況が
悲観的なものだったからそういう表現をしたとして、
「悲壮色の花」なんてタイトルをつけるとこまでは良いとしても
他人にその同意を求めようと言うのは間違っていると思う訳です。
もっと言うと、「悲壮な色」という日本語表現自体正しくないと
感じる時さえあるわけです。
正しくは「悲壮に感じる色」なのでしょうから…

言葉をいじりたくてこんな事を書いているのではなく、言いたい
のは「色」は、主観であり観念なんだと…



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縦軸に明暗、横軸に彩度を規定した、色相を一旦無視し、上に行く
ほど明るく右に行くほど鮮やかな…というグラフをイメージしてみます。

中くらいの明るさで最も鮮やかな色、すなわち一番右側中段に位置する
色のグループをビビットカラー…明るさを同じくらいに固定し、
ビビットから少し左に移動した位置、すなわち少しくすんだ位置に存在する
グループをダルカラーと色彩学では呼ぶようです。

ビビットカラーには、黄色から始まって右回りに緑、青、赤、橙と
巡って黄色に戻る色相環が存在し、ダルにはダルの環が存在します。

ビビットを場合によって、我々は「原色」と言い表します。
「原色」が持つとされるイメージは、時に派手であり、時に生き生き
として目立つといったところでしょうか…

しかし例えば、新幹線から見る事の出来る、地名もわからない土地の
寂れた田畑の中にある、数十年も放置されていると思しき寝具や
殺虫剤の広告看板がもしビビットカラーだったとして、それから派手さ
を感じる事も無ければ、生き生きとした活力を感じる事も無いかも
知れない…
郷愁や寂しさを感じる事があっても…

「それは看板の配色だけの問題でなく、周辺がそう感じさせるのでは?」
と言われるかもしれないがしかし、仮に400mmの望遠レンズで
思いっきりその看板だけを引き寄せたとしても、僕は同じように
郷愁を感じると思うのです。

これはそもそもプライベートな話であるが故、すなわち色から受ける
イメージは主観であり観念なのだと言う繰り返し…

問題なのは、それ程主観的な要素に対し、256色とか1670万色とか、
True Colorとか言い始めた時に、我々は何か重要な取捨選択をしてしまった
のかも知れない…と僕の回想は漂流し始めます。

色という物をそれ程データ化可能な状態に省略してもかまわないと言う
考え方を受け入れた事によって、遠巻きにモノクロ写真とは、カラー写真
から色情報を省いたものなんだという定義を、知らず知らずのうちに受け
入れてしまったのかも知れないとも…

という長すぎる導入を経て、白黒写真について言いたい事があるのです。

それは昨今増え続ける様々な表現手段に囲まれて、
「見える情報を見る」事が出来れば世間がある程度は理解できるように
感じる世の中で、
「見えない情報を感じる」事の素晴らしさを知り、そして自分からも発信
する事は可能だって事…

写真においては最もミニマムにして奥深いスタイルと思える銀塩モノクロ写真…

これは見えない部分に情報ないしは感情を盛り込む事が最も可能な
イメージだと考えたいのです。

だから何故、銀塩モノクロ感材が衰退して困るのかと問われたら
こう言おうと思います。

「空が青い事はもう知ってますから…」

って…


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昨晩は、わざわざ手焼きプリントの準備をしておいて最初の一枚目を
露光し、現像液に浸して10秒かそこらで見限って棄て、次の二枚目を
どうにか露光定着と進み、水洗バットに沈めた段階で、次のネガに取り組む
意欲がどういうわけか突然消失したので、そのまま片付けた。

しめて40分くらいのアホみたいな時間だった。



  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
  
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「blue sky」


Copyright(C) 2009 Toshifumi Jodai


by flierone | 2010-02-03 18:01